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2024.07.01

Part3
満杯にならないの? 冷蔵倉庫の謎

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特集:簡単なようで簡単じゃない、“ずっと冷たい物流”の守り方

Part3
満杯にならないの? 冷蔵倉庫の謎

Part2では、家庭用冷蔵庫約50万台分にあたる冷蔵倉庫に潜入し、保管庫の中をのぞいてみました。
Part3では、商品が物流センターから出発するまでに密着! 食の物流が一年中安定している理由に迫ります。

独自のシステムが大活躍! ロスタイムのない出庫作業

保管庫に運び込まれた商品たちは、適温の中で出庫の時を待ちます。

保管庫内にある在庫の数や各現場での作業状況は、バックオフィスや現場作業員はもちろんのこと、荷主様もニチレイロジグループ独自のクラウドサービス「eLixxi」からリアルタイムで見ることができます。

出庫までの動きを見てみましょう。
荷主様から出庫のオーダーをいただいたら、まずは船橋物流センター内のバックオフィスにて出庫までの段取りをします。

当日、現場はどのように動くのでしょうか。
まずは担当作業員がピッキングする商品とその保管場所をタブレットで確認します。そして、商品が載ったパレットから必要数をすばやくピッキングします。

この際、入荷時に貼った札状のシールをタブレットでスキャンすると、出庫数などのデータを一瞬で照合できるようになっています。人為的なミスを削減するための工夫です。

ピッキングした商品は、数によっては荷崩れ防止用のフィルムを巻いて固定し、エレベーターで荷捌き場へ。すでに待機しているトラックへと運び込まれます。

中野は、緊張感のある面持ちで出庫作業に取り組みます。

プロフィール画像

東京ニチレイサービス
船橋事業所 所長代理
(2024年3月取材当時)

中野 拓也

中野

1日に数多くのトラックが物流センターから商品を運び出します。ドライバーさんをお待たせしない、そして商品の品質を損なわないためにも、作業場所、接車バース、人員配置などの段取りはとても重要なんです。スムーズな作業は商品の温度変化を防ぐことにもつながりますから、作業員一人ひとりが時間を意識しながら作業に取り組んでいます。

こうして積み込みが完了したトラックは、次の目的地へと出発します!

今回ご覧いただいた保管型物流センターや、集約・仕分けを行う通過型物流センターなど、いくつかの拠点を経由することで、全国各地へコールドチェーン(低温物流)がつながり、皆さんの元へ食べ物が届けられるのです。

物量の波、どう乗り切る?

夏に向けて気温が上がると食べたくなる、アイスクリーム。
新しいCMが始まった、あの商品。
みんなが集まって食事を楽しむ、年末年始やお盆。

天気やメディアの動き、季節ごとのイベント、相場価格の高騰など、さまざまな要因によって食の需要は大きく変動します。
それに合わせて、物流センターでは入出庫が多くなるのだとか。

“物量の波”が到来したときも、スムーズに受け入れたり、出庫に対応できるのはなぜなのでしょうか。

センターの全体統括も担う佐々木は言います。

プロフィール画像

ロジスティクス・
ネットワーク 
船橋DC 所長代理

佐々木 大

佐々木

物流センターでは、先を見通し、設備や機能を十分に発揮しながら効率よく商品を保管・出庫していく“全体最適”を心掛けています。

 そのための取り組みはいくつかありますが、例えば、荷主様から事前に商品の生産計画をご共有いただくこと。これは荷主様との信頼関係があってこそできることです。

さらに、現場とバックオフィスの主要メンバーが集まる時間を毎週設けています。今後の入出庫予測や注意事項などを共有する、大切な時間です。中長期的な見通しも考慮しながら、日々の庫内運用がスムーズになるよう努めています。

現場実務を取りまとめ、物量コントロールに尽力している萩原と中野は、「センター内での情報連携のスムーズさは、私たちの強みの一つ」と言います。

プロフィール画像

東京ニチレイサービス
船橋事業所 所長

萩原 正義

萩原

商品の格納先を決める際、より良い配置があれば現場のメンバーたちで話し合って場所を決めるなど、柔軟性のある運用をしています。特に“物量の波”に対しては、保管庫に格納されている商品の量や、格納する場所を調整するなど、先を見通して早め早めに行うよう努めています

中野

保管庫内の調整は、タブレットを活用したデジタルベースでの業務効率化が進んでいる分野でもありますが、現場で働く作業員同士のコミュニケーションがベースにあるからこそ、より効率良く保管庫を運用でき、“全体最適”に近づけているんです

こうした “全体最適”の心掛けと、各所でのきめ細やかなコミュニケーションの積み重ねで“物量の波”に対応できるのです。

コールドチェーン(低温物流)を支える人たちの姿は、なかなか見えないかもしれません。しかし、縁の下の力持ちとして、皆さんの安全・安心な食卓を支えているんです。

例えば、スーパーで食品を手にするとき。
例えば、レストランで食事をするとき。

あなたが口にするその食べ物は、いったいどのようなルートを辿ってきたのか?
思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

Part1もご覧ください!

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