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2025.09.30

Part3 ニチレイフーズが考える新たな食の可能性とは?

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特集:冷凍食品の未来を先取り!万博×ニチレイフーズ

Part3 ニチレイフーズが考える新たな食の可能性とは?

ニチレイフーズは、2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオンで、テーマ事業プロデューサーの小山薫堂さんがプロデュースする「EARTH MART」に、シルバーパートナーとして協賛しています。

その中で、冷凍×凍結粉砕の技術で実現する「進化する冷凍食」の展示に技術協力をしました。

一体、「進化する冷凍食」とは何なのでしょうか。
今回は、展示に至るまでの道のりや、気になる展示内容を一部ご紹介します!

大阪・関西万博に出店しているレストラン「テラスニチレイ」の内容や、その様子をお届けする【Part2 未来の冷凍食品のあり方を体験できるレストラン  55年ぶりに復活した“テラスニチレイ”とは】もチェック!

冷凍技術で世の中のためにできることをもっと広げたい

保存能力に優れ、新鮮な状態を保つことができ、さらに手軽に利用できる冷凍食品。

ニチレイフーズは、冷凍食品業界のリーディングカンパニーとして、「冷凍技術で世の中のためにできること」を来る日も来る日も考えてきました。

例えば、フードロスの削減や、食料自給率のアップ。
さらには、食糧不足の改善や、健康寿命の延伸。
新たな食文化の形成や、CO2の排出削減。

冷凍には、まだまだ新しい可能性が秘められているとニチレイフーズは考えています。

そんなニチレイフーズは、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」において、この技術を活用したコーナー「進化する冷凍食」に技術協力をしました。

EARTH MARTのテーマは、「食を通して、いのちを考える」。
地球環境や飢餓問題と向き合いながら、日本人が育んできた食文化の可能性とテクノロジーによる食の進化を共有し、より良き未来へと導く「新しい食べ方」を来場者と共に考えるパビリオンです。

このEARTH MARTのテーマ事業プロデューサーである小山薫堂さんの、『空想のスーパーマーケットを通して「食」の未来を見せる』という考えに共感し、展示協力に至りました。

プロフィール画像

ニチレイフーズ
ライン&マーケティング
戦略部 マーケティング部
マーケティンググループ
マネジャー
兼 大阪・関西万博
EARTH TABLE
〜未来食堂〜
テラスニチレイ 店長

原山 高輝

「冷凍食品の未来」をどう見せるか。 悩んだ先にあった出会い

「でも、『冷凍食品の未来』を、一体どうお見せすれば良いのだろうか」

この時はまだ、「冷凍食品の未来」とは何なのか。どうすればそれを表現できるのか。ニチレイフーズのメンバーの中に、そのイメージはありませんでした。

そこでまず、小山さんとのアイデア出しを始めました。

「イタリア・ナポリで焼いたピザを急速凍結したものが、日本の自販機から出てくるようにできないか?」
「宇宙空間は−270℃と温度が低いので、食品と一緒にロケットを宇宙に飛ばしたら、エネルギーを使わずに冷凍できるのでは」

夢のようなアイデアが次々と湧いて出てくるものの、それを実現する方法はなかなか見当らず。
議論の着地点が見えない中、流れを変えたのは、ある方との出会いでした。

原山

山形大学の古川教授は食材を凍結粉砕して粉末状にし、3Dフードプリンター「やわらか食」をつくるという研究をされている方です。「やわらか食」は、介護食などへの応用が期待されています。小山さんと古川教授がお話しされている時に私たちもご一緒させていただいたのですが、そこでひとつのアイデアが浮かび上がってきたのです。

「古川教授の『やわらか食』に使用している凍結粉砕の技術を使って、冷凍食品の未来を見せることができないか」ということでした。

実はニチレイフーズには、粉末たんぱくと米粉をあわせて米粒状に成形し「たんぱく米」などにする技術がありました。

古川教授の凍結粉砕技術と、ニチレイフーズの「たんぱく米」の知見。これらを掛け合わせれば、「たんぱく米」以外も作れるのではないか。
また、これまで捨てられていた食材を急速凍結してパウダー化することで、新しい再生米がつくれるかもしれない。

小山さんを含め、メンバーたちの思いは合致。
早速、「具体的にどんな素材を掛け合わせて再生米をつくるか」という議論が進んでいきました。

「例えば、精米中に砕けてしまったり、選別からはじかれた規格外のお米と、サイズや形が基準から外れてしまった規格外の野菜に、凍結粉砕技術をかけ合わせれば『野菜の栄養たっぷりなおいしいお米』をつくることができるのでは」

今回の万博では、メンバーたちがアイデアを出し合って再現した新たな再生米の数々を、展示しています。

原山

万博では、他にもユニークな素材を掛け合わせた再生米がたくさん展示されています。実際にどんな素材が掛け合わされているのかは、ぜひ現地でご覧ください!

また今回は、凍結粉砕パウダーを使った空想上の冷凍食品も展示し、そのパッケージ化にニチレイフーズが全面協力しています。こちらも実際の展示物はぜひ会場まで見にきていただきたいのですが、どれもユニークなアイデアばかりでワクワクしますよ。

冷凍×凍結粉砕技術で 社会課題の解決にもアプローチ

おいしさや栄養を逃さずに長期保存ができる上に、使いたい分だけ使えてサステナブルな冷凍技術。

圧縮加工のため輸送コストカットにつながる上に、液体や個体も粉砕でき、組み合わせも自由自在な凍結粉砕技術。

これらを掛け合わせることで、食材ロスや飢餓などの社会問題の解決にもつながることが期待されています。

さらに、EARTH MARTの「進化する冷凍食」を知ったことをきっかけに、ニチレイフーズが運営するレストラン「テラスニチレイ」に来られるお客様もいらっしゃると原山は語ります。

原山

再生米の展示が、『テラスニチレイ』でも提供している『everyONe meal』の炒飯の技術がもとになったと知ったご来場者が、実際に『everyONe meal』の炒飯を食べてみたいと、「テラスニチレイ」に来られることもあるんです。

おかげさまで、連日多くのお客様にお越しいただいており、炒飯類の提供食数はすでに5万食を突破いたしました。

冷凍×凍結粉砕の技術で、ますます広がっていく食の可能性。
その先には一体、どんな未来が待っているのでしょうか。

これからも進化しつづける冷凍食に、ぜひご注目ください!


※技凍結粉砕技術は、山形大学・古川英光教授の技術協力により開発されました。
古川教授は、内閣府ムーンショット型農林水産研究開発事業(管理法人:生研支援センター)にて、「低温凍結粉砕含水ゲル粉末による食品の革新的長期保存技術の開発」を進めています。

環境問題や人手不足を解消する 新システムやAIの活用にもチャレンジ!

ニチレイフーズでは、大阪ガス株式会社の100%子会社であるDaigasエナジー株式会社が提供するオンサイト(自社工場敷地内)型バイオガス化システム「D-Bioメタン」を関西工場に導入しています。これは、食品の製造過程で出てきた、食べられない・使われない部分をエネルギーに変換するシステムで、なんと、万博会場でも使われているんです!

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