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2025.10.31

Part1 オランダ・ロッテルダムから
始まった海外進出。
ニチレイロジグループは、なぜ欧州に?

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特集:ニチレイロジグループ、欧州進出の道のりを辿る

Part1 オランダ・ロッテルダムから
始まった海外進出。
ニチレイロジグループは、なぜ欧州に?

欧州、中国、タイ、マレーシア、ベトナムと、海外進出を図ってきたニチレイロジグループ。
その第一歩は、1988年、オランダ・ロッテルダムへの進出でした。
今や、ニチレイロジグループの売上のうち、25%以上を占めるほどに拡大している欧州事業。
欧州という異国の地で、一体どのように事業を拡大してきたのでしょうか。
その秘密に迫ります。

ニチレイロジグループは、なぜオランダ・ロッテルダムへ?

東にはドイツ、南はベルギー、フランス、西には北海を挟んでイギリスに囲まれ、欧州の中心に位置するオランダ。

その南西部には、欧州最大の貨物取扱量を誇るロッテルダム港※があります。
ロッテルダムは、スイスのアルプス山脈からドイツ・フランス・オランダを流れ北海へと注ぐライン川の河口部に位置し、産業革命とともにヨーロッパ最大の港(ユーロポート)として栄えてきました。
※出所:CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK 1982 及び Lloyd's List「ONE HUNDRED PORTS 2023」 より国土交通省港湾局作成

ここ、ロッテルダムから始まったニチレイロジグループの海外進出について、欧州事業に長年携わってきた海外事業推進部の羽津はこう語ります。

プロフィール画像

ニチレイロジグループ本社
海外事業推進部
アドバイザー

羽津元之

羽津

ニチレイロジグループは欧州において、オランダを中心に、欧州全域をカバーする物流ネットワークを構築しています。

中でもロッテルダムは、欧州のちょうど中間あたりに位置する欧州最大のコンテナ港であるロッテルダム港があり、ここを起点として欧州全域への運送を効率よくカバーできる重要なエリアなのです。

当時、「日本で培った冷蔵倉庫業のノウハウを生かして、海外にも事業を展開できないか」と考えていたニチレイロジグループ。とはいえ、当時は海外事業の巨大構想があったわけではありませんでした。

「全くの未開の地だった欧州エリアで、新たな開始前の事業やプロジェクトを本当に実現できるのか」を見極めるために、あらかじめ調査・検討(フィージビリティスタディ)を行い、1988年にロッテルダムの冷蔵倉庫運営会社「Eurofrigo B.V.」を買収。

そこからニチレイロジグループの海外進出は始まりました。

個別運営から、グループとしての全体最適へ

しかし、日本企業が海外企業を直接買収・運営するには、言語の壁や法制度など、乗り越えるべき壁がいくつもあります。

そこで1989年、欧州事業の戦略立案や事業会社の買収・管理などを行う中間持株会社として、Nichirei Holding Holland B.V.を設立。
低温運送業や通関業を営む「Thermotraffic Holland」や「Thermotraffic GmbH」を買収し、倉庫保管ビジネスから輸出入の通関業、トラック等による陸送までを担うフォワーディング事業にも乗り出しました。

その後はオランダのみならず、ポーランドやフランス、イギリスにも進出してきたニチレイロジグループ。
流通加工を強みとする会社や、食品物流だけでなく温度管理を必要とする医薬品物流も手がける会社、小売店向けにきめ細かなサービスを提供する会社など、それぞれ異なる強みを持つ会社をグループの傘下に置き、欧州においてさまざまなサービスをワンストップで展開できる体制を構築し、ビジネス領域を広げ続けてきました。

しかし、事業拡大が進む中、羽津はある課題に着目していました。

羽津

かつてのニチレイロジグループの欧州事業は、グループ各社が個別で各事業を運営しており、横の連携が希薄でした。これにより、それぞれが担うビジネス領域や役割分担などで意見が食い違うこともあったんです。そこで、私たちが仲介役となってグループ全体のコミュニケーション活性化を図り、グループ全体としての最適解を探す役割を果たしてきました。まだまだ道半ばではありますが、この積み重ねでグループとしてのシナジーがより高まったと感じています。

“お客様視点”を強みに、欧州のネットワークを拡大

ニチレイロジグループは、冷蔵倉庫設備能力世界シェアで5位※にランクインしています。

※ 出所:GCCA(国際コールドチェーン協会)「Global Top25 List」2025年4月資料をもとに加工

その鍵となっているのが、ワンストップサービスの提供です。

欧州では、日本国内での物流ビジネスと異なり、国境を越えて欧州全域に商品を届けなければなりません。たとえば、オランダ・ロッテルダムからイタリア・ローマまで商品を配送した場合、それは東京から鹿児島までの距離に値します。

そこで欧州事業では、海上輸送から検疫・通関、陸上輸送までの一連の流れを、一貫して実施。これらのワンストップサービスに加え、顧客視点での付加価値サービスを提供することで、より高いサービスレベルを実現しているのです。

羽津

通常、欧州では出庫作業の依頼を受けられる時間が明確に決まっていることがほとんどなのですが、私たちの場合はお客様の状況に合わせて柔軟に対応させていただくこともあります。こうしたお客様の視点に立った物流サービスは、ニチレイロジグループが誇る強みの一つです。さらにニチレイロジグループの陸送トラックの一部にはGPS機能に加えて、温度管理のために後方の扉を開閉した時間を記録する機能などがあります。これらは欧州各国でも高い需要があり、盗難防止や品質保持のために、食品以外の医薬品や家電を運送したこともあるんですよ。



今やモロッコやチュニジア、トルコ、アゼルバイジャンなど、欧州とその近隣諸国46カ国への配送実績(累計)を持つニチレイロジグループ。
その広域な物流ネットワークを支えているのが、主要7社です。

【Part2 グローバル物流の舞台裏。46カ国をつなぐ、7つの力(仮)】(11月公開予定)では、ニチレイロジグループの欧州事業の中核を担う主要7社について、それぞれの特徴や強み、連携の取り方を紐解いていきます。

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