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2025.12.25

Part2 グローバル物流の舞台裏。
46カ国をつなぐ、主要7社

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特集:ニチレイロジグループ、欧州進出の道のりを辿る

Part2 グローバル物流の舞台裏。
46カ国をつなぐ、主要7社

ヨーロッパ最大の港といわれる、オランダ・ロッテルダム。
ニチレイロジグループは1988年、ここから海外進出への第一歩を踏み出し、
欧州での物流ネットワークを広げ続けてきました。
そんな欧州での物流ビジネスを支えているのが、
果汁を専門に取り扱う会社や、プロの料理人向けの加工品などを取り扱う会社など、
それぞれユニークな強みを持つ事業会社です。
今回は、その気になる特徴を一挙にご紹介します。

ニチレイロジグループの欧州進出の背景を辿る【Part1 オランダ・ロッテルダムから
始まった海外進出。ニチレイロジグループは、なぜ欧州に?】
もチェック!

運ぶ、保管する、だけじゃない?

ニチレイロジグループの欧州事業の発端は、大きく分けて2つのビジネスから始まりました。

一つは、お客様から冷凍・冷蔵の貨物を倉庫でお預かりする「保管ビジネス」。
もう一つが、通関から納品先への陸上輸送までを行う「フォワーディングビジネス」です。

その後、小売店向けサービスや流通加工を強みとする物流会社を次々とグループ化。顧客視点での付加価値の提供に力を入れてきました。

これにより、欧州において、海上輸送から通関・保管・陸上輸送まで、ワンストップでの物流サービスを展開。当時、大手物流企業が自国市場へのサービスに注力する中で、この欧州でのワンストップサービスの提供は非常に珍しいものでした。

そして現在は、中間持株会社「Nichirei Holding Holland B.V.」の傘下で、オランダ・ドイツ・イギリス・ポーランド・フランスなど欧州の広範囲にわたり事業を展開しています。

これから、事業を担う各社の物流サービスの実態を、少しだけ覗いてみましょう。

果汁に特化した低温物流会社「Hiwa Rotterdam Port Cold Stores B.V.」

ロッテルダム港では、中南米や中東・アフリカ、東南アジアなどの世界各国から、ジュースの原料となる果汁が欧州向けに輸入されます。
1990年、この果汁原料に特化した物流サービスを手がける「Hiwa Rotterdam Port Cold Stores B.V.」がニチレイロジグループに仲間入りしました。

濃縮果汁が入ったドラム缶

天然果汁は、収穫時のロットごとに色味や糖度・酸味などの味がすべて異なります。しかし、商品としてお届けするジュースは一定の品質でなければなりません。

そこで「Hiwa Rotterdam Port Cold Stores B.V.」は、物流サービスの一環として、果汁の成分分析を行い、そのデータを荷主であるお客様にご連絡し、お客様のご指示のもと、一定の品質になるように異なるロットをブレンドして出荷しています。

こうした顧客視点のサービス提供が評価され、「Hiwa Rotterdam Port Cold Stores B.V.」は現在、欧州で消費される輸入果汁の約4分の1の取扱量を誇っています。

4カ国でフォワーディングビジネスを展開「Thermotraffic B.V.(蘭)」「Thermotraffic Ltd,(英)」「Thermotraffic GmbH(独)」

オランダ・イギリス・ドイツ・ベルギーにそれぞれ展開し、国ごとの物流ニーズに応じてフォワーディングビジネスや保管事業を中心に行っているのが、「Thermotraffic B.V.(オランダ)」「Thermotraffic Ltd,(イギリス)」「Thermotraffic GmbH(ドイツ)」です。
一部では、通関や保管・クロスボーダー輸送のみならず、付加価値サービスの提供にも力を入れています。

そもそも保管ビジネスは「貨物をお預かりした状態で、荷主様にお返しすること」が基本。冷凍倉庫でいえば、凍った状態で貨物をお預かりして、そのまま保管をし、冷凍の状態で出荷することが一般的です。

「Thermotraffic B.V.(オランダ)」「Thermotraffic Ltd,(イギリス)」では、自社倉庫で食材を急速凍結・解凍するなど独自の付加価値サービスの提供にも力を入れており、他社との優位性を図っています。

たとえば食肉では、チルドの状態で入荷された商品を、自社倉庫で急速凍結して保管。
出荷の時期が来たら、半解凍の状態にして出荷する。

こうした急速凍結・解凍といったプラスアルファのサービスを実施することで、お客様の方での凍結・解凍等作業工程を省略できます。加えて、お客様が必要なタイミングで商品を入出荷できるので、商品の需要と供給のバランスが保たれ、お客様側で在庫のコントロールがしやすくなるというメリットもあります。

一方、「Thermotraffic GmbH(ドイツ)」では、輸出入貨物の通関のほか、EU全域・北欧諸国におけるクロスボーダー輸送を事業の主軸としており、西欧に加え、消費の拡大する中東欧、ロシア、中東地域にも配送網を拡充しています。厳密な温度管理が必要な医薬品なども取り扱っていることも特徴の一つです。

小売店向けに店舗ごとの仕分けを行う「Frigo Logistics Sp. z o.o.」

ポーランド国内で、小売店向けの物流サービスを提供しているのが「Frigo Logistics Sp. z o.o.」です。

同社では、荷物を倉庫で一定期間保管し、必要なタイミングで出荷する「保管型物流」のほかに、商品の長期保管を行わずに一時的に集約・仕分けをして配送する「通過型物流」も展開。

小売店のニーズにお応えし、保管している冷凍品と一時的に入荷してくる商品を店舗ごとに仕分けし、各店舗へ配送しています。

小売店向けに商品を提供しているメーカーは、このように保管型物流と通過型物流を同時に提供する倉庫に荷物を保管しておくことで、輸送手配の手間やコストなどを削減できるのです。

プロの料理人向けの加工品を取り扱う「Transports Godfroy S.A.S」「Entrepôts Godfroy S.A.S」

フランスの物流ネットワークを担うのが、メーカー・問屋・量販店向けの加工品を主に取り扱う「Transports Godfroy S.A.S」と「Entrepôts Godfroy S.A.S」です。

実運送の機能を持つ「Transports Godfroy S.A.S」と、倉庫の機能を持つ「Entrepôts Godfroy S.A.S」。

2社の強みは、HoReCa(ホテル・レストラン・カフェ)市場向けの物流サービスです。北部の3拠点に加え、2014年に南部の都市リヨンの物流センターが稼働。需要の高まりに応じて2021年にはリヨン、2022年には北部のルアーブルの物流センターを増設しました。北部と南部に拠点を構えることで、保管・運送のワンストップサービスをフランス全土に提供することが可能となりました。

こうしてニチレイロジグループは、各社の強みを生かしながら、物流ネットワークを面で広げていくことによって事業を拡大してきました。


その裏側には、高品質な物流サービスを安定的かつ継続的に提供するために日々尽力している現地スタッフと、異国の地で物流を支える海外駐在員の存在がありました。

【Part 3 欧州事業を支える海外駐在員の仕事とは(仮)】(1月公開予定)では、ニチレイロジグループの海外駐在員が、欧州事業においてどのような役割を果たしているのかをご紹介します。

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