天然いくら丼、卵焼き、焼肉———。
どれもとってもおいしいですよね。
ですが全て、“コレステロール”を多く含む食べ物なんです。
そんなコレステロールですが、実は私たちの体に欠かせない重要な成分でもあります。
今回は、適切な量を保つことが肝心な、コレステロールとの付き合い方をお届けします。
コレステロールは本当に悪者?
“コレステロール”というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。
中には「体に悪いもの」「健康に良くないもの」というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そもそもコレステロールとは「脂質」の一つで、とても大切な成分。私たちの体中にある細胞の“膜”に含まれています。
しかしコレステロールは、体を動かすエネルギー源となる中性脂肪などとは違い、エネルギー源にはなりません。では一体どんな働きをしているのでしょうか。
教えてくれたのは…
女子栄養大学 副学長
教授
博士(栄養学)
管理栄養士
川端 輝江さん
実はとっても重要! コレステロールの役割
コレステロールの役割は、細胞膜の安定性を保つことや、細胞膜を柔らかくして細胞のはたらきを調整すること。これが不足していると、免疫機能が低下したり、細胞膜や血管が弱くなったりすることもあります。つまりコレステロールは、丈夫な細胞をつくる上で、とても重要な役割を果たしているんですよ。
そんなコレステロールですが、エネルギー源にはならないため、体内での役目を終えると排泄されます。そこで大切なのが、供給と排泄のバランス。体内では、摂取量や排泄量などをふまえて、必要な分だけを保っています。
また、コレステロールは体内でも生成されています。外部から取り入れるコレステロール量が少ない場合や、お腹が減っている時にも生成されるので、基本的には不足することはありません。
栄養が詰まった食材「卵」。しかし摂りすぎに注意!
血液中のコレステロールには、二つの形態があります。
一つは、肝臓で作られたコレステロールが全身に運ばれる時の「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」。もう一つが、不要なコレステロールを肝臓へと運び戻す時の「善玉コレステロール(HDLコレステロール)」です。
そうして余分なコレステロールをお掃除することで、常に適切な量が保たれています。
同時に、私たちヒトの健康にとって、十分な栄養素を摂取することも非常に大切です。そこで、特に栄養を摂るためにおすすめの食材が「卵」です。というのも、卵には動物の体をつくるために必要な成分がたくさん詰め込まれているからです。卵は、栄養を摂るのに適した食材ですが、コレステロールも多く含まれているので、食べ過ぎには注意が必要。「健康な方は1日1個まで」「血中コレステロールが平均より高い方は1日1/2個まで」を目安にすると良いでしょう。
食材の成分を知ることで健康的に食事を楽しもう
また人によっては、同じコレステロール量を摂取しても、コレステロールを吸収しやすい体質の方、いわゆる「ハイパーレスポンダー」の方もいます。そうした方は、動脈硬化によって心臓病や脳梗塞などの循環器疾患につながることもあります。
こうした疾患を防ぐには、コレステロールが多く含まれている食材を知っておくことも大切です。ぜひチェックしておきましょう。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
さらに、食材に入っている成分によって、コレステロール値に与える影響は異なります。例えば、脂質に多く含まれる“脂肪酸”には、いくつかの種類があり、悪玉コレステロール値を「上昇させるもの」と「減少させるもの」があります。
例えば、牛肉や豚肉などに含まれているのが“飽和脂肪酸”です。飽和脂肪酸は、悪玉コレステロール値を上昇させる働きがあるので、摂りすぎには注意が必要です。
一方、悪玉コレステロール値を減らしてくれるのが、“不飽和脂肪酸”です。リノール酸やEPA・DHAに含まれる“多価不飽和脂肪酸”と、オレイン酸に多く含まれる“一価不飽和脂肪酸”があります。コレステロールが気になる方は、飽和脂肪酸よりも、不飽和脂肪酸を含む食材を摂るように意識してみてください。
また、“トランス脂肪酸”にも要注意。これは「悪玉コレステロールの増加」「善玉コレステロールの減少」につながることがあります。トランス脂肪酸が含まれている可能性があるのは、ショートニングやマーガリン、またこれらを原材料にした市販のお菓子、パン、ドーナツなどの加工品です。手に取った食品にトランス脂肪酸が含まれているか気になる場合は、各メーカーのホームページなどをチェックしてみてください。
食事療法に励む方でも豊かな食事を楽しめる機会を
コレステロール値が気になって食事療法をしている方々も、できることなら食事を楽しみたいですよね。そうした意味でも、コレステロールフリーの食品はより豊かな食を届けてくれます。肥満や糖尿病、高脂血症でお悩みの方は、ぜひ試してみてくださいね。
水溶性の食物繊維は、コレステロールの吸収を抑えるのに効果的。海藻、果物などに多く含まれているので、いつもの食事に加えてみてくださいね!
「みらいくら」をご試食いただきました!
ニチレイフレッシュは、コレステロールが気になる方でも安心して食べられる魚卵状食品「みらいくら」を開発しました。今回、女子栄養大学の教員・学生の皆さんにもご試食いただいたところ、「見た目がとてもきれい」「天然いくらよりもさっぱりしている。これはこれでおいしい」「日持ちをするのがうれしい」などの感想が。コレステロールフリーの未来食として広まっています。
【Part2 高脂血症や魚卵アレルギーの方でも安心して食べられる、「みらいくら」ができました】(2月公開予定)では、ニチレイフレッシュが開発に挑んだ魚卵状食品「みらいくら」の誕生秘話をお届けします。