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2025.02.19

Part2 高脂血症や魚卵アレルギーの方でも
安心して食べられる、「みらいくら」ができました

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特集:食と健康の未来を守る「みらいくら」

Part2 高脂血症や魚卵アレルギーの方でも
安心して食べられる、「みらいくら」ができました

皆さん、食事の際にコレステロールを気にしたこと、ありますか?

例えば、プチッとした食感と、中から弾け出す旨みが魅力的ないくら。しかし高コレステロール食品のため満足に食べられない方や、魚卵アレルギーに悩む方がいるのも事実です。

そこでニチレイフレッシュは、コレステロールフリーかつ魚卵アレルゲンフリーを実現した魚卵状食品「みらいくら」を開発しました。今回は、新商品の開発に挑んだ経緯とその魅力をお届けします。

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食べたいだけ食べていい。夢のような「みらいくら」

丼の上に、ふんだんに盛り付けられた紅色に輝く粒——実はこれは、天然いくらではないということにお気づきでしょうか。

これは、ニチレイフレッシュが開発し、2023年9月から試験販売している「みらいくら」です。

「みらいくら」は、ニチレイフレッシュ独自の調味液で味付けし、おいしさにもこだわった魚卵状食品。天然いくらとは違い、コレステロールや魚卵アレルギーの原因物質を含まず、動物性原料も不使用(プラントベース)。コレステロールの多い食べ物を控えている高脂血症の方や魚卵アレルギーの方、ヴィーガン志向の方にも楽しんでいただける食品です。

この「みらいくら」が生まれた理由。そこにはニチレイグループの「食と健康をテーマに新たな価値を生み出したい」という想いがありました。

髙田

私たちニチレイグループは、5つのマテリアリティ(重要事項)の1つ目に、「食と健康における新たな価値の創造」を掲げています。それを実現するアイデアをグループ社員から募集するプロジェクトがあったのですが、約30件集まったユニークなアイデアのひとつが、この「みらいくら」だったんです。

こう語るのは、ニチレイフレッシュで水産事業に長年携わり、アラスカでいくらの生産に携わる技術者の方から加工・生産の手ほどきを受けた経験もある、水産戦略部 企画グループの髙田です。

プロフィール画像

ニチレイフレッシュ
水産戦略部 企画グループ
プロフェッショナル

髙田 理一朗

髙田

いくらって、コレステロールが多い食べ物なんです。天然いくらの軍艦巻き5貫食べただけで、1日の上限摂取量※を超えてしまいます。実際、社内検討する中でも「自分もコレステロールを下げる薬を飲んでいる」という声もあり、コレステロールに対して何かしらの対応をしている方も少なくありませんでした。

※動脈硬化学会が提唱する、高LDLコレステロール血症患者におけるコレステロール摂取量(1日200mg未満)という管理目標値

また、いくらはニチレイフレッシュが取り扱う水産品の中でも取扱量の多い食材ですが、近年地球温暖化の影響により漁獲量は減少傾向。ニチレイフレッシュにとっても「いくら事業を、今後どうしていくか」は長年の課題となっていました。

そこで髙田たちは「みらいくら」の事業化を目指し、本格的に取り組みを始めることを決心したのです。

「みらいくら」を必要とする人は、どこにいる?

しかし、「みらいくら」を買ってくれるお客様はどれほどいるのか。この見極めが必要だったと髙田は語ります。

髙田

食分野の課題を解決するための最先端の技術、いわゆる「フードテック」の開発はとても難しいんです。どれだけ社会的に価値があっても、それを心から必要とするお客様、いわゆる「熱烈顧客」がいなければ、商品として続けられない。「みらいくら」には、「コレステロールフリー」「魚卵アレルゲンフリー」「動物性原料不使用(プラントベース)」という3つの提供価値がありますが、まずは「コレステロールフリー」に絞って、お客様のニーズを調べることから始めました。

調査では「いくらが食べたくても、コレステロール値が高いため満足に食べることができない40〜60代の人数」など、さまざまな条件を設定。その条件に完全に一致する方がどれくらいいるのかを調べるために、仮説と検証を何度も繰り返していきました。

そして社内外でアンケートとインタビューを実施したところ、髙田たちが考える「コレステロールフリーを実現する『みらいくら』」を必要とする熱烈顧客が一定数いることが分かりました。

さらに、試作品の「みらいくら」と、商品チラシを5,000枚用意し、2カ所での事前告知とテスト販売を行いました。1カ所は、本社からも近く、当社とお取引のあるお店も多い「築地市場」。もう1カ所は、関東有数の長さを誇り、仮説条件に合うユーザーが多くいると予測される「戸越銀座商店街」です。すると、チラシを手に取った通行人からこんな反応が。

髙田

「まさにこういう商品が欲しかったんです!!」とわざわざ買いに来られたお客様が2名いらっしゃったんです。

さまざまな検証活動の結果から、国内の40〜60代で換算すると、約1万人のお客様がいることになります。さらに、今回の訴求ポイントである「コレステロールフリー」以外にも焦点を当てると、より多くの需要があることも期待できます。「自分たちのやってきたことは間違っていなかったんだ」と、みんな目頭が熱くなっていましたね。

また、スーパーマーケットなどでもテスト販売をしたところ、購入されたお客様からはこんな声が。

「魚卵アレルギーで私だけいくらを食べられなかったので、これなら家族と一緒に食べられる」と、大切な人と一緒に食べる喜びを語る女性。
「生臭くなくておいしい。いくらを初めて食べられた」「大きくてプチプチしていておいしい!」と幸せそうな表情を浮かべる子どもたちなど、たくさんのうれしい声が届きました。

長年、魚卵と歩んできたニチレイならではの、「粒」へのこだわり

テスト販売のうちから、販売を待ち望む声をいただいた「みらいくら」。しかし、長年、いくらや筋子にこだわってきたニチレイフレッシュだからこそ、「食感」にこだわるべきだと髙田は考えていました。

髙田

「みらいくら」はあくまで「コレステロールに悩む方でも気にせず食べられる」という顧客ニーズに焦点を当てた商品であって、天然いくらの代替商品ではありません。とはいえ、食べ物としての価値は最大限に高めたい。その思いから、天然いくら特有の食感を再現するために、研究機関に何度も足を運び、試行錯誤を重ねました。

特に髙田がこだわったのが、食感と粒の大きさ。
一般的に流通するいくらは、主に「鱒いくら」と「秋鮭いくら」の2種類があります。鱒いくらは、秋鮭いくらよりも粒は小ぶり。一方、秋鮭いくらは大ぶりで、脂質も多く濃厚な味わい。髙田は長年いくら・筋子の事業に携わってきたからこそ、秋鮭いくらの食感にこだわりたいと考えていました。

髙田

ニチレイフーズの技術開発メンバーにもご協力いただき、商品開発をしたのですが、一番こだわったのは、膜の食感。これは海藻に含まれる成分であるアレルギン酸で再現しているのですが、「みらいくら」はこれまで当社になかった新しい商品ということで、専用の機械はなく、ポンプで吸い上げた液体をノズルから一粒ずつ滴下して作っています。その滴下するスピードや高さ、液体の量、アレルギン酸の配合比率などによって、その味や食感が大きく変わってしまうんです。
技術開発センターでの打ち合わせの様子

技術開発センターでの打ち合わせの様子

こうして完成した「みらいくら」は、天然いくらにはない、新しい価値を生み出すことに成功しました。

髙田

「みらいくら」は、熱しても味や食感、色味が損なわれないんです。お湯をかけても鮮やかな色を保つことができ、料理の彩りの面でのニーズがあります。天然いくらではできなかった、新しいレシピの開発にもつながりますね。

「みらいくら」は、その話題性のある特徴から雑誌や新聞に多数掲載されるなど、「未来食」として注目を集めています。また、地球温暖化の影響などにより天然いくらの漁獲量が減少しており、サステナブルの観点からも「みらいくら」を評価する声も届きました。

そして現在もお客様の声を取り入れながら改良を重ねつづけており、ニチレイフレッシュが毎年開催しているお取引様向けセミナー「こだわりセミナー」では、2023年から2年連続で「みらいくら」をご紹介。試食したお取引先様からは、「昨年よりおいしいくなった!」という声も届きました。

お客様にあらゆる新たな価値をお届けする「みらいくら」は、食べ方もさまざま。ぜひ天然いくらとは違った、新しい楽しみ方を見つけてみてくださいね。

おすすめの食べ方

「みらいくら」は、お寿司の軍艦巻やおにぎりのほか、お茶漬けやじゃがバター、ゆで卵など、熱いものにトッピングしても鮮やかな色を保つことができます。チーズとの相性も良いので、ワンハンドで食べられるようなクラッカーなどに乗せて食べてもおいしいですよ。ぜひさまざまな料理でお楽しみください!

出典: Instagram

【Part3 おいしさに新たな価値を。「みらいくら」ができるまで】(3月公開予定)では、製造工場である㈱フレッシュまるいち とともに「みらいくら」の生産に取り組んだ奮闘の日々をお届けします。

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