固有のいきものが生息する、小笠原諸島。
その玄関口ともいわれる父島に、ニチレイの社有地があります。
私たちはこの場所を、地域活動などにご利用いただいています。
そして2025年8月には、小笠原村と交流を続けているすみだ水族館(東京都墨田区)と生物多様性保全に関する連携協定を締結。
アオウミガメの保全活動や小笠原村の情報発信などに、すみだ水族館と共に取り組み始めました。
9月には、ニチレイのサステナビリティ戦略部の3名が、すみだ水族館の皆さんと一緒に小笠原諸島の父島を訪問。
アオウミガメの赤ちゃんの甲羅磨き体験や、海岸での清掃活動などを行いました。
今回は、すみだ水族館とニチレイが共に取り組んだ、小笠原村での活動の様子をご紹介します。
小笠原村とニチレイのつながりをひもとく【Part1 製氷工場がつないだ、小笠原村とニチレイ】もチェック!
訪問したのは…
サステナビリティ戦略部
部長
佐藤 真理
サステナビリティ戦略部
サステナビリティ
戦略グループ
グループリーダー
神山 洋輔
サステナビリティ戦略部
グローバル
サステナビリティ
情報統括グループ
アシスタントリーダー
飯塚 ゆい
東京から約1,000km、船で24時間かけて現地へ訪問
「小笠原村の魅力を伝えるには、まずは私たち自身がその魅力を知っておかなければ」
ニチレイ サステナビリティ戦略部の3名は、小笠原村に向かいました。
東京都竹芝から、おがさわら丸で24時間。
長い船旅の先に待っていたのは、ゆっくりとした時の流れの中で、豊かな自然といきものたちが生息する美しい環境でした。
アオウミガメの甲羅磨きを体験
父島に到着した3名が最初に向かったのは、ニチレイ社有地の一部を活用いただいている小笠原海洋センターでした。ここでは、アオウミガメの保護・飼育などの保全活動をしています。
まずはアオウミガメについて知るため、小笠原海洋センターのウミガメ教室に参加してきました。
アオウミガメは、産卵する砂浜の環境劣化や乱獲の影響で大幅に減少したといわれているいきものの一つです。しかし近年は、保護活動により個体数が回復傾向にあるともいわれています。
3人はウミガメに関する座学を受講した後、アオウミガメの甲羅磨きを体験することに。
カメは、甲羅や体についた汚れや苔を放置していると、皮膚病に繋がる可能性があります。
野生のカメは、魚などの小さな生きものたちに汚れを食べてもらったり、サンゴや岩に甲羅をこすりつけたりして甲羅をきれいにしていますが、センターの水槽で飼育しているカメはそのようなことができないため、人の手でケアをする必要があります。
したがって、甲羅磨きはとても大切なのです。
神山
アオウミガメの人工孵化の取り組み
おがさわら丸が入港する二見港の横には、サンゴが砕けてできたカケラ「サンゴダスト」の美しい浜辺が広がる、大村海岸があります。
アオウミガメの赤ちゃんは孵化した後、明るい方向へ向かう習性があるため、人工の明かりのない自然の海岸では山側より明るい海側へ迷わず進み、海へ還ることができます。
しかし、父島のメインストリートにも近い大村海岸では、街の明かりに誘われてしまい、中には海にたどり着けず車に轢かれてしまうこともあるのです。
そこで小笠原海洋センターでは、大村海岸とセンター内の産卵所で産卵された卵を人工孵化場で保護。砂浜環境を再現した場所で、人の手による管理のもと、自然に近い状態で孵化させています。
ニチレイの3名も、実際にアオウミガメの卵を人工孵化場の砂浜に埋める埋卵も体験することに。
まずは、卵を産めるための穴を、大人の腕が肘のあたりまで入る深さまで深く掘り下げていきます。
さらに、穴の下半分はつぼ型になるように横にも大きく広げていき、約15分後、十分な広さが完成しました。
母ガメが掘った巣穴を再現した穴の中で、すくすく育ってくれることを祈って、一つひとつの卵を大切に埋めていきます。
アオウミガメが安心して産卵できる 美しい砂浜を守るために
アオウミガメが安心して産卵するためには、海岸や海の環境が豊かであることが欠かせません。つまり、美しい海を守ることは、アオウミガメの未来を守ることにもつながっています。
そこで今回は、東京都環境公社が主催する「TOKYO海ごみゼロアクション」にも参加。地元住民や観光客、学生たち20名ほどの参加者と共に、大村海岸での清掃活動を行いました。
飯塚
マイクロプラスチックとは、プラスチックごみのうち、直径5mm以下の破片のこと。こうしたごみは、食物連鎖を通じて、有害化学物質がいきものの体内に蓄積する可能性があり、さらにその魚を摂取する私たちの体にも影響を及ぼす可能性があるといわれています。
そんな小さなマイクロプラスチックを、素手で一つずつ拾っていきます。
飯塚
すみだ水族館で大切に育てられた2頭を、小笠原の海へ
さらに今回、もう一つの重要なイベントがありました。
それは、すみだ水族館で1年間大切に育てられたアオウミガメ2頭(「ハート」と「ロック」)を、小笠原の海に還すこと。
「ハート」と「ロック」を浜辺にそっと置く、すみだ水族館飼育スタッフの藤原さん。
海に還る際、うまく波に乗れず、浜辺の方へ戻ってきてしまうカメもいるそうです。
藤原さんの後ろで、ニチレイの3名も見守ります。
すると、自然に海の方へと進んでいく2頭。
そのまま姿は見えなくなりました。自然の中で、しっかりと生き抜いて大きくなり、小笠原に戻ってきてほしい。そう思いながら、しばらく海を見つめる、すみだ水族館の皆さんとニチレイメンバーたちでした。
小笠原のいきものを、未来へつなぐ
ウミガメは世界で7種類のみ。
その中で唯一、海藻を食べるのは、アオウミガメだけです。
アオウミガメが海草を食べることで海草床の過剰な成長を防ぎ、海草や海洋生物の住処であるサンゴ礁などの生態系のバランスが保たれています。
そんな希少な種を守ることは、「食」を通じて自然やいきものと向き合ってきたニチレイとしても大切なことだと3人は語ります。
佐藤
ニチレイ製氷工場跡の記念碑にて
アオウミガメとの触れ合いや、海岸の清掃活動を通じて、いきものを守ることの大切さをあらためて感じたニチレイのメンバーたち。
今後も生物多様性保全において、ニチレイとしてできることを一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいと思います。
【Part 3 すみだ水族館×ニチレイが描くこれから(仮)】(5月公開予定)では、協定締結までの背景と、協業によって広がる可能性をひもときます。
島民による盛大なお見送り
おがさわら丸の出航時には、島民による盛大なお見送りが。中には、自身の仕事を止めて見送りに来てくださった方や、小型船で並走しながら見送ってくださる方も。島民の皆さんの「行ってらっしゃい!」の声かけに心を打たれつつ、ニチレイメンバーも「行ってきます!」と大きな声で答えます。その温かなひとときは、島と人といきものの深い結びつきを感じる時間となりました。



