ニチレイグループがさまざまなパートナーと⼿を取り合い、「⼆⼈三脚」で取り組んでいる活動を紹介するこのコーナー。今回は、世界有数のえびの養殖地、インドネシア・カリマンタン島でマングローブの森を再⽣する、『⽣命(いのち)の森プロジェクト®️』をご紹介します。
ニチレイフレッシュと、現地でえび養殖を営むPT.Mustika Minanusa Aurora(以下MMA社)が踏み出した一歩は、今ではインドネシアを飛び越え他の国まで、そして青々としたマングローブの森へとつながっています。
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ニチレイフレッシュ
調達生産本部 水産戦略部
えびグループ
福島 正豊
![プロフィール画像](https://cdn.clipkit.co/tenants/1547/item_field_assets/assets/000/000/204/medium/cfe6f231-177c-48f6-9adc-9e299510e233.png?1710849710)
MMA社
Vice President(副社長)
Shih Ho Chenさん
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生命のゆりかご・マングローブ
日本から南西に約5000㎞。インドネシア・カリマンタン島。
この地でえびの養殖事業を営むMMA社の事務所の一角を覗くと、壁一面を埋め尽くす写真の数々がありました。『⽣命(いのち)の森プロジェクト』で植樹を行った際に撮影された、記念写真です。
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ニチレイフレッシュの⽔産事業で長年えびの調達に携わり、『⽣命の森プロジェクト』の窓口も務めた福島は感慨深そうに眺めます。
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福島
それに相槌を打つのは、『⽣命の森プロジェクト』発足時からのパートナーであるMMA社のShihさんです。
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Shihさん
インドネシアは世界でもトップ3に入る、えびの一大養殖地です。
通年20℃前後に保たれる気温や、汽水域(きすいいき)※の広大さ。満潮時と干潮時における海面の差の大きさ。えびが育ちやすく、収穫もしやすい条件が揃うため、古くから養殖事業が盛んに行われてきました。
※汽水域 川と海、つまり淡水と海水が入り混じっているエリアのこと
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干潮時と満潮時の海面の差を利用すると、えびの収穫が楽に行える
汽水域には、マングローブと呼ばれる植物群が生い茂っています。入り組んだマングローブの根は、たくさんの小魚やえび、かにたちにとって大切なすみかです。そしてそれらを食べようと大型の魚や鳥、サルといったさまざまな生き物もマングローブの森に集まってきます。
マングローブは豊かな生態系を守る、生命のゆりかご。
しかし、1980年代、マングローブの森は次々と伐採されていきました。
その原因は、他でもない「えびの養殖」にありました。
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「えびを育てるほど、森が減る」という悪循環に歯止めを
えびの養殖方法は主に2つ。
一つは「集約養殖」。養殖池を人工的に整備し、そこで飼料や抗生物質を与えながら育てる方法。
もう一つは「粗放養殖」。元の地形を利用し、池にいるプランクトンを餌にするなど、自然に近い環境で大きなサイズになるまでじっくり育てる方法です。
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この2つの養殖方法は、収穫量も大きく違います。
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福島
しかし、集約養殖では養殖池を維持するために土壌に負荷をかけるため、何十年も同じ池を使い続けることはできません。養殖池が疲弊し、だんだんとえびが育たなくなってしまうのです。そして一度疲弊した養殖池は、数年〜数十年単位で時間をかけなければ元通りになりません。
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Shihさん
生産地の環境負荷を減らす。えびの調達を持続可能なものにする。その決意のもと、ニチレイフレッシュは1995年以降、粗放養殖で育てたブラックタイガーえびの調達・販売に取り組んでいます。
森を「守る」だけでは足りない。 マイナスをプラスにしていく
しかし、これだけは足りないと考えました。
粗放養殖を通じて今ある自然を守るだけでなく、失ったマングローブの森を取り戻す、いわばマイナスをプラスに変えていくためのアクションを——。
そして、2006年。
ニチレイフレッシュとMMA社は『⽣命の森プロジェクト』を立ち上げました。
このプロジェクトは、粗放養殖で育てられたえびの収益の一部を、ニチレイフレッシュとMMA社が共同で設立した「マングローブ基金」に寄付。それを原資にMMA社を中心に、カリマンタン島内でマングローブを植樹する取り組みです。
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Shihさん
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福島
みんなで一緒に植えるからこそ、 伝えられることがある
ただ、活動の輪を広げていくのは簡単ではありませんでした。
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福島
そこでニチレイフレッシュは卸売企業を現地に招待し、駐在員やMMA社の従業員と共にマングローブを植樹するツアーを企画しました。
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福島
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Shihさん
えびの取扱量は年々増加。また活動が地元新聞社に取り上げられるなど、プロジェクトは段々と認知されるようになりました。現地の住民や教育機関、政府関係者にも積極的にお声がけしたことで参加者は年々増加し、植樹場所も広がっていきました。
17年の活動が紡いだ絆
広がったのは、マングローブの森だけではありません。
2011年3月11日、東日本大震災が発生。ニュースを耳にしたMMA社の従業員たちの顔は青ざめました。
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Shihさん
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写真の中でMMA社が掲げたのは、「We are with you in this difficult time」の文字。苦しい時だと思いますが、心はひとつ——。
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福島
震災直後や昨今のコロナ禍中は、ニチレイフレッシュのメンバーがなかなかインドネシアに足を運べない日が続きました。それでも、MMA社は現地での植樹活動を続けました。
現在では、ベトナムやタイといった近隣の国の計13の企業・団体まで活動の輪が広がりました。2023年度末までに延べ150回以上の植樹を実施、植えられたマングローブは51万本にのぼります。カリマンタン島内の緑地は目に見えるほど拡大し、干潟の生き物たちやサルなどの動物たちが戻ってくるなど、着実に実を結んでいます。
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10年間で広がったマングローブの森
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Shihさん
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福島
安全・安心でおいしいえびを未来世代へつないでいくために。一本一本、思いを込めた植樹活動は続きます。
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