今や私たちにとって身近な存在である冷凍食品。実は冷凍食品にも“トレンド”があったんです。知られざる冷凍食品の世界へ、ようこそ。
教えてくれたのは…
一般社団法人
日本冷凍食品協会
広報部長
三浦 佳子さん
あなたの冷蔵庫に並んでいるのは冷凍食品? 冷凍品?
冷凍してある食品全てを「冷凍食品」と呼ぶわけではありません!
実は「冷凍食品」と呼べる食品は限られているんです。
大きく分けて4つの条件が定められています。
これらを満たしたものだけが、「冷凍食品」と表示できるのです。食品の種類や、食べる前の加熱が必要かなどの区分によっては、③の守らなければならない法律・規格も異なります。
ご自宅の家庭用冷凍庫で凍結させたものは「冷凍食品」ではなく「冷凍品」と呼びます。
なぜなら「冷凍食品」の条件 ②急速凍結をしていること 等をクリアしていないからです。
急速凍結とは?
急速凍結とはその名の通り、低い温度帯まで短時間で冷凍すること。
具体的にいうと、食品内の水分が氷結晶に変わる-1℃から-5℃の最大氷結晶生成温度帯を、短時間で通過させる凍結方法です。食品を急速凍結させるには、専用の機械が必要となります。
急速凍結にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
食品の内部には水分があります。専用の機械を使って水分が凍る温度帯を素早く通過させることで、氷の結晶の成長を抑制し、食品の細胞破壊を限りなく防ぐことができるんです。
結果として鮮度、風味、食感を維持することができ、冷凍前のおいしさや品質を解凍時も再現することができるのです。
日本人はどのくらい冷凍食品を食べている?
年々、冷凍食品の国内消費量は増え続けています。
2022年の調査では、国民1人当たりの年間消費量は過去最高を更新しました。
その量はなんと…23.9kg!
1人当たり約24 kgの冷凍食品を、ご家庭や飲食店で口にしているということなんです。
日本冷凍食品協会 統計資料「国内消費量推移」より
特に魚類やえびといった水産物、コロッケや唐揚げを含むフライ類、米飯や麺、ハンバーグなどといった調理食品の消費量は、右肩上がりを続けています。
また近年は冷凍食品の種類が格段に増えています。主食やおかずに加え、お弁当やフルーツ、デザート類などなど…。メーカー各社の企業努力によって、冷凍食品はこれまで以上に気軽に使える存在になっているようです。
冷凍食品にもトレンドがある?
変わりゆく生活様式や、その時々のブームに合わせ、冷凍食品は進化しています。
健康志向の高まりを受けた減塩など栄養バランスを考慮した商品、韓流ブームに起因する辛い味付けの商品などは顕著な例です。
そして昨今のトレンドはズバリ、「個食」です!
以前から世帯の少人数化や単身化が進んでおり、「個食」のニーズに応える商品は販売されていました。さらに、2020年以降はコロナ禍によって外食機会が減少。またテレワークが増加するなど、生活様式が大きく変化しました。食事のタイミングや場所、味やメニューの嗜好が多様化していったことで、一人ひとりが食べたいもの、好きなものを自由に食べる食文化がますます広がっていきました。
こうした変化を受け、冷凍食品での「個食」需要がこれまで以上に高まっているのです。
1皿で主食や主菜、副菜を味わえるワンディッシュ形式のものや、野菜やタンパク質を含んだ具材を盛り込んだ栄養価が豊かなものなど、満足感の高い商品が増えています。
三浦さんからひとこと
三浦さん
一人ひとりのライフスタイルに合わせてうまく冷凍食品を活用し、バランスの取れた食事をとっていきましょう。
冷凍食品のトレンド「個食」に合わせ、2022年夏にニチレイフーズが発売したのは「冷やし中華」。レンジでチンして冷たく仕上がる、前代未聞の一品でした。
【Part2 電子レンジでつくる「冷やし中華」って本当に冷たいの? サーモカメラで検証してみた】でご紹介します。